腎盂がん・
尿管がん
特徴 10万人あたり男性0.1人、女性0.1人の割合と泌尿器のがんの中では、発生率は低い方です。たばこによる危険度の上昇は2〜10倍と言われています。織物や色素工場で使用されていた科学物質(現在は使用禁止)への慢性接触があった方に腎盂がん・尿管がんが多いことも知られています。
移行上皮がんの特色として多発する傾向があり、腎盂がんが後に尿管がんや膀胱がんとして再発しやすいのも特徴です。大動脈周囲リンパ節や肺、肝臓、骨などに転移が多く見られます。
症状 最も多い症状は血尿(肉眼的血尿)です。尿管が血液で詰まったり、がんが周囲に進展すると、尿管結石に似た腰や背中の痛みが発生します。がんの進行により尿管口が少しずつ閉塞した場合、尿管・腎盂に尿が充満し拡張する水腎症などの症状が認められることもあります。
当院の
検査
血尿がある場合は、膀胱鏡検査を行います。また、尿の中にがん細胞が含まれていないかどうかを調べます(尿細胞診)。
静脈から造影剤を点滴し、腎臓から腎盂や尿管に排泄される様子を数回に分けてX線撮影する排泄性腎盂造影、尿管内に直接造影剤を注入してX線撮影をする逆行性腎盂造影、腎盂内の腫瘍や水腎症の有無を調べる腹部超音波検査などを行っております。
膀胱がん 特徴 膀胱の表面は移行上皮という名前の伸縮性に富む上皮粘膜でおおわれています。膀胱ガンは、この移行上皮がガン化したものです。組織学的には移行上皮ガンが全体の90%を占めています。発生率はそれほど高い方ではありません(10万人あたり17人の割合)が、年々増加の傾向にあります。多くは40歳以上に発生しますが、若年者にもときにみられます。男性は女性の約2〜3倍の発生頻度と言われています。喫煙者は非喫煙者に比べて約3倍の発症率となっています。また、化学薬品や染料を扱う職業にも発症率が高いことが知られています。
症状 初発症状は血尿(肉眼的血尿)が最も多く認められます。ほとんどは疼痛などの症状を伴わない無症状性血尿と言われています。次に排尿時痛、また初発症状が排尿時痛や下腹部の痛みで発症する場合もあります。膀胱がんの浸潤で尿管口が閉塞し、尿管・腎盂に尿が充満し拡張してくること(水腎症)で、背中の鈍痛を感じることもあります。
当院の
検査
膀胱鏡検査を行うことによってほとんどが診断出来ます。また、尿の中にがん細胞が含まれていないかどうかを調べます(尿細胞診)。がんの確定的診断には、膀胱粘膜生検を行います。
膀胱がんが見つかった場合は胸部X線撮影、腹部超音波検査により、がんの範囲と転移の有無を調べる必要があります。また、同じ移行上皮でおおわれている腎盂・尿管にも同様のがんが見つかる場合がありますので、腎盂・尿管がんの検査である排泄性腎盂造影を行う必要があります。